小児 における全身麻酔 ー親はかなり心配になりますよねー

 小児 に対する全身 麻酔は、成人の全身麻酔とどう違うのでしょうか。
 →いくつか違うところがありますので、その違いを中心に紹介します。

小児 の分類:新生児、乳児、幼児の定義って?

 小児と一言に行っても月齢や年齢によって呼び方が変わりますのでご紹介いたします。

  • 出生後4週までの小児      → 新生児
  • 満1歳未満の小児        → 乳児(児童福祉法)
  • 満1歳から小学校就学までの小児 → 幼児(児童福祉法)

 出生時体重が2500g未満の場合、低出生体重児(以前は未熟児と言われていました。)とされ、お母さんの子宮から外界に出生した時に十分に生活できる機能の成熟度に達していないことが多く、何かしらの対応を保険医療関係者が行う必要があるとされます。生まれて数日以内に手術を受ける新生児の多くが低出生体重であり、体重が小さい程その可能性が高くなります。
 低出生体重児の中でも、出生体重により以下のように分類されています。

  • 1000g未満  → 超低出生体重児
  • 1000~1500g → 極低出生体重児
  • 1500~2500g → 低出生体重児

術前から手術当日まで   小児の場合は風邪に要注意

 小児の場合、生まれた時から何かしらの病気を持っていないければ基本的には持病のようなものはありません。従って、手術前に行う検査も血液検査、胸部レントゲン写真、検査できそうであれば心電図くらいで終わりです。成人の場合と比べ少ないことがわかります。
 一方で、幼稚園や保育園、小学校などに通っている子どもは、風邪などをもらいやすく(特に冬です。)手術が延期になることがしばしばあります。この対策として、学校などを休むわけにもいかないので日頃から手洗いうがいをして頂き、できる限り風邪を引かないように予防していくしかありません。

 また、手術前の飲水ができる時間も、ミルクや母乳を飲んでいる子で異なってきます。当院では、ミルク6時間前、母乳4時間前で飲むのを中止して頂きます。これは、ミルクの方が消化に時間がかかるとされ、母乳はミルクよりも長く飲むことができます。

手術当日から術後まで もちろん小児は泣いてしまう。。。

 赤ちゃんを始め、子どもは泣くことが仕事のようなところがありますよね。お母さんやお父さんから離れるだけで泣いてしまう子もいます。では、どこまで子供と一緒にいることができるのか。。。
それは、「各病院によってどこまで付き添えるか決められている」ので、一概に答えることはできません。手術室に入るところまでの施設もあれば、麻酔がかかってお子さんが寝るところまで付き添える施設もあり対応は様々です。また、自閉症などで急激な環境変化についてこれない子の場合などは、麻酔を受ける病院で相談してみるのが良いと思います。

 手術室に来るだけで「イヤイヤ!!!泣」ってなっている子がほとんどです。点滴も入っていないため、泣き暴れている子どもを押さえて点滴を取る、、、こんな事したらトラウマになりかねませんよね。
 従って、点滴を取れないような子の場合は、酸素に吸入麻酔薬(気体の薬)を混ぜることでまず寝てもらいます。この吸入麻酔薬でしっかり麻酔がかかった後に点滴をとり、口の中に挿管チューブを入れることが多いです。
 これは、挿管チューブを抜く時も同様です。麻酔から醒めてくるとチューブの違和感(起きている時に喉にチューブを通されているの想像してください。かなり苦しいと思います。)で大暴れになります。もちろん、言うことなんて聞いてくれるわけもなく、、、麻酔科医の判断でチューブを抜去しなければなりません(麻酔科医の腕の見せ所ですね)。
 大人であれば指示に従ってくれる事を確認した上でチューブを抜くことが多いため、呼吸をしなかったり、少なかったりする時は声をかけて呼吸するように促します。しかし、子どもはそんな状況にないため、チューブを抜去した後に呼吸状態が悪化することが時々起こります。大人と比較しても空気の通り道が子供の場合は狭く、痰などにより容易に閉塞してしまいます。このため呼吸状態の悪化もある一定の割合で生じるため仕方のないことですが、手術前に風邪を引いていたなど確率を上げてしまう原因がいくつか存在します。そのため、少なくとも風邪をひいた直後の全身麻酔は行われないことがほとんどです。

 術後の痛みについても、まだ喋れない子は自分で痛みを表現することができません。では、どうやって痛がっているのかどうか判断するのか。。。それは、機嫌や顔の表情を見て総合的に判断します。ただ、痛みの感じ方には個人差が大きく、実際に小さい子どもがどれほどの痛みを感じているかの評価は難しいと思います。なので、お父さん、お母さんの感じる印象も参考にしながら痛み止めの投与を行うことになります。

まとめ 小児 麻酔は麻酔科医の腕の見せ所かも

 ここまでお話ししてきたように、小児に対する麻酔は麻酔科医の経験により様々な判断が行われています。従って、麻酔科医の腕の見せ所と言ってもいいかもしれませんね。

 何かご質問等あればコメントやお問合せいただければ幸いです。

  

 

 

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