痛み は、避けて通りたい感覚の一つだと思います。では、なぜ痛みがあるのでしょうか。一つの考え方として、「痛みを感じることで体を守ることができる」と言えます。例えば、糖尿病では手足の神経障害が起きます。これにより、手足の感覚が鈍くなるためストーブなどに触れていても熱さを感じずに火傷を負う患者さんもいます。しかし、感覚が正常であれば熱さを感じ、反射的に熱いところから逃げることができます。
このように、痛みはただ不快なだけではないのです。一方でこのような意味のある痛み以外はやはり不快で無意味なものと捉えると、そのような痛み を抱えながら日常生活を送ることはみなさん望まれないと思います。しかし、2010年(既に10年以上前ですが)に行われた集計によると成人人口の約22%が慢性的な痛みを抱えながら日常生活を送っていることが明らかになりました。と言うことは、5人に1人以上の割合、、、結構多いですよね。
今回はまず痛みの分類についてお話しします。
痛み の分類
痛みの種類には、どんなものがあるのかご存知でしょうか。分類の仕方にも様々ありますが、まず部位による分類です。体性痛と内臓痛の二つに分類されます。
・体性痛:
体表面の痛みは、場所などがはっきりとしており鋭い痛みが特徴です。この痛みを起こす刺激は熱刺激・機械刺激(圧力によるもの)・化学刺激(ブラジキニン、セロトニンなどの化学物質)で発生します。・内臓痛:
痛みの場所がはっきりとせず、鈍い痛みを特徴として、腹膜の過伸展や腸の平滑筋が痙攣性収縮により痛みを感じます。ご存知の方もいるかもしれませんが、臓器そのもので痛みを感じているわけではないのです。
次は痛みの原因により分類してみます。ペインクリニックの世界では以下のように分類されています。
1:侵害受容性疼痛
侵害受容器という痛みを伝えるものを介した痛みをいい、熱刺激・機械刺激・化学刺激による痛みに加え炎症による痛みを含んでいます。熱いものに触れたり、痛いものに触れると反射的に手を引っ込めたりしますよね、ある意味、体を守るために感じる痛みといえます。この種類の痛みに対しては、いわゆるロキソニン、アセトアミノフェン、セレコックスなどが効きます。
2:神経障害性疼痛
現在も正確なことは解明されていません。神経そのものが障害されることで疼痛を生じるものです。感じ方としては、日常生活で感じないような灼熱痛や電撃痛などがあり、ただただ不快な痛みとなります。リリカなどを治療薬として処方しますが、侵害受容性疼痛に対する薬ほど効果は期待できません。
3:メンタルペイン
侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛に分類できない痛みを、このメンタルペインとしています。
ただし、毎日、長期的に痛みが続いていると誰しも気分が落ち込んだりしますよね。なのでこの3つをクリアに分類することはできず、これらの痛みがオーバーラップして存在していると私は考えています。(痛みについての研究が進むことでこれら以外の新しい分類が確立される可能性もあります。)
まとめ 痛み の分類
今回は痛みの分類についてお話ししました。
痛みは体を守るための感覚と言えますが、その意味をなくせば、それは不快な疼痛となるのみです。原因による分類で処方する薬を考えますので大切な分類と言えます。次回は、これらの痛みを時期によって感じる帯状疱疹についてお話しいたします。
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