麻酔導入 体位と種類について、今回は解説したいと思います。医療関係者向けの内容になりますが、できる限り噛み砕いて記載しますので参考にしてください。
全身麻酔についての概要はこちらに。
麻酔導入 時の体位
体位は、仰向けに寝てもらいます。これを”仰臥位”と言います。(腹這いは”腹臥位”、横向きは”側臥位”です。)
施設により異なりますが、推奨されている頭の位置は、”sniffing position“です。直訳すると”匂いを嗅ぐ姿勢”、、、下の図で言うと、” C “にあたります。
この”C”では、3つの線がなるべく一直線になっていることがわかります。つまり、喉頭鏡を使用した時に声帯までが直線上の位置に近づくため、見やすくなると言うことになります。
この枕の高さは10cm程度なのでタオルなどを枕の下に追加してやることが重要となります。
麻酔導入 の種類
・急速導入(Rapid Induction)
予定された手術における通常の麻酔導入方法のこと。
十分に酸素化を行ってから静脈麻酔薬と鎮静薬を用いて入眠させた後、筋弛緩薬を投与して
気管挿管を行う。
・緩徐導入(Slow Induction)
吸入麻酔薬(セボフルランやデスフルラン)によりマスク換気で入眠させ、麻酔を深くした後、
静脈路確保(点滴)を行う麻酔導入方法。
覚醒状態で静脈路確保が困難な小児に用いることが多い。
・迅速導入(Rapid Sequence Indution:RSI/Crush)
フルストマック(胃内容物あり)で誤嚥リスクが高いと考えられる場合に行う方法 。
主に緊急手術の場合に行われる。
十分な酸素化に続き、静脈麻酔薬と筋弛緩薬をほぼ同時に投与し、90秒前後でマスク換気を行わずに
気管挿管を行う。先に筋弛緩薬の効果が出た場合、患者さんは呼吸困難感などを感じることがある。
入眠後に輪状軟骨を圧迫して食道を閉鎖して胃内容物の逆流を防ぐための対応をする場合がある
(cricoid pressure)。
このように大きく分けて3種類の導入方法があります。各症例によってどの麻酔導入方法にするかは麻酔科医の判断によります。
手術において最も侵襲が強いとされるのが気管挿管です。従って、心臓や大血管、脳動脈などの疾患の場合、緊急手術であったとしても誤嚥に注意しながら通常の急速導入を行うこともあります。
まとめ
スニッフィングポジションを意識した体位の作成により、挿管の難易度は大きく変化しますので研修医の先生は意識されるがいいと思います。また、麻酔導入の方法は大きく分けて3種類ありその選択は一様ではなく、症例により変化するので事前の認識を共有することが大切となります。
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