麻酔科医 って手術室で麻酔しているだけ?

麻酔、ペインクリニック

今回は、麻酔科医 ってどんな役割を担っているかについて、お話したいと思います。

麻酔科医の一般的なイメージといえば… ”手術室で麻酔をかけている医師”

手術室での麻酔

もちろん、麻酔科医の役割に手術麻酔が大きく関わっていることに間違いはありませんし、我々麻酔科医の原点でもあります。では、この手術麻酔とはどんな麻酔なのか、詳しくは後日書きますが、、、

イメージとしてはおそらく、多くの人が「麻酔科医は手術を受けている間だけ眠らせて、痛みを取っている」のみと思われるのではないでしょうか。実は、麻酔科医の役割は、手術中だけではありません手術を受けることが決まったその日から社会復帰するまでの、いわゆる”周術期”と言われる期間に、麻酔科医は患者さんに関与しています。

この他にも様々な役割を担っていますのでご紹介していきます。

” 麻酔科医 は、蘇生のプロ”

まずは、これです。蘇生とは何?

蘇生とは、簡単にいえば「心臓が止まってしまった人の命を繋ぎ止める事」。(これが重要です!!)

心臓マッサージ

 我々、麻酔科医は”瀕死の患者さんの命を繋ぎ止めるProfessional“です。命を繋ぎ止める事にどんな意味があるのか、、、それは、心臓の動きが再開しないと、心臓が止まった原因の病気を緊急で治療しに行くこともできないことが多い。つまり、命を繋ぎ止めることで、専門の医師(心臓疾患なら循環器内科など)に命のバトンを渡すことが可能となります。私が勤務している病院では、患者さんが入院している病棟での急変(心停止や呼吸の悪化など)対応は全て麻酔科医が行っています。病院によっては、救急医療(ドクターカーやドクターヘリなど)を麻酔科医が担当している病院もあります。

集中治療室(ICU)でのイメージ

 また、急変した患者さんは一般的な病棟で治療することが難しいことも多いので、集中治療室での治療(集中治療)が必要となることがほとんどです。この集中治療を麻酔科が主体となって行っている病院もあります。コロナウイルス感染症で大きな話題となったECMO(肺や心臓の役割をしてくれる装置)の適応の判断などを行っています。集中治療では、抗生剤の種類や栄養管理などについても知識がないと治療を行うことが難しく、様々な知識を有しています。

急性期も慢性期の痛み→ペインクリニック、緩和医療

手術後の痛みを緩和するのはもちろんですが、、、

 痛みを持ちながら日常生活を送っている人は多くいますが、癌による終末期の痛みを対象とするのが緩和医療、足腰の痛みを始め癌による痛み以外の痛みの緩和を目的に治療を行うのがペインクリニックとなります。痛みの原因は、現在の医療でもはっきりしないことも多くありますが、痛み止めの内服だけでは痛みをコントロールすることが難しいことも多いので、神経ブロックや痛みを感じている神経そのものを壊してしまう治療もあります。この他にも様々な方法を使い何とか痛みをコントロール出来るようにしていきます。もちろん、整形外科や痛みの原因検索の結果、悪性腫瘍が見つかることもあるため、その時は外科の先生に紹介し手術を行ってもらうこともあります。

まとめ

 以上、大きく3分野について、麻酔科医が関与していることを紹介してきました。手術麻酔の他にも、集中治療やペインクリニックなど広範囲の役割を担うことが可能です。

 この他にも病院内の様々なところで麻酔科が関わっている箇所は多くあり、ここでは紹介仕切れません。これを読んで頂き、麻酔科医の仕事が少しでも想像していただければ嬉しいです。この後もそれぞれの内容について、詳しく紹介していきますのでよろしくお願いします。

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