そもそも 麻酔 って何?
麻酔は英語で”anesthesia”といい、ギリシャ語の”無感覚”という意味に由来しています。この言葉通りであれば、麻酔とは「患者さんを無感覚な状態にする」ことを指します。
では、この無感覚な状態って何のことを指すのか、、、私見としては、痛みを含む”ストレス”を取り除くことが一番この表現の意味に近いのかなと思います。
麻酔 の種類について→全身麻酔とそれ以外の麻酔
ご覧になっている方も”麻酔”を経験された方がいらっしゃると思います。しかし、どんな麻酔方法で手術や検査が行われたかを正しく理解されている方は、少ないと思います。
一つの例として、、、
胃カメラの検査や何かしらの処置を受けられた方の中に、「検査をする時は麻酔をかけてやるので、それほど大変ではないですよ」と言われた事はないでしょうか。
この”麻酔”の意味することは何でしょうか。全身麻酔なんでしょうか。
この麻酔とは、、、正確には”鎮静“と言い、人によっては眠ってしまって記憶がない方もいると思いますが、全身麻酔とは異なってくるわけです。一言に”麻酔”と言えば、患者さんもわかりやすくて、麻酔と聞くと安心感がわくと思いますが、「鎮静は、全身麻酔とは異なっている」ということを覚えておいてください。
このように” 麻酔≠全身麻酔 “であり、麻酔という言葉の中には、全身麻酔や鎮静以外にも脊椎麻酔、硬膜外麻酔、伝達麻酔などいくつか種類が含まれています。
脊椎麻酔や硬膜外麻酔は、背中から針を刺し、それぞれの目標となる空間まで針を進めて薬剤を投与します。伝達麻酔は、局所麻酔薬を神経や痛みを感じている部位に注射することにより、局所麻酔薬が神経まで浸潤し効果を発揮して痛みを取り除く方法です。
これらすべての麻酔方法を麻酔科医は適切に扱うことができ、患者さん個々の状態(年齢や持っている病気など)に合わせて薬の投与量などを調整する事が可能です。
全身 麻酔 の歴史について、最初に全身麻酔を成功させたのは、、、
世界で一番初めに全身麻酔を行なったのが、、、この画像の人物である華岡 青州(1760-1835)という日本人、そうです、日本人が世界で初めて全身麻酔を行なったのです。1804年に乳がんの手術を通仙散(別名を麻沸散:チョウセンアサガオやトリカブト、トウキなどを配合したもの)を用いて全身麻酔下で行い成功させました。欧米では、この40年後に現在行われている形に近い全身麻酔での手術が初めて行われることになります。
また、この華岡青州は、通仙散を開発する過程で母親や妻を人体実験の被験者としていたそうです。この人体実験にて、母親の死や妻の失明という大きな代償を払い、世界初となる全身麻酔を通仙散により成功させます。
全身麻酔が最初に行われてから200年を超え、薬の開発、手術中のモニタリング(心電図や血圧計、体の酸素飽和度など)の発展などにより全身麻酔を含め”麻酔”は安全になってきています。
今回は、大きな意味での麻酔についてその種類や全身麻酔の歴史も含めて説明しました。
まとめ
- 麻酔とは、無感覚な状態にすること。
- 麻酔には、いろいろな種類があり、鎮静と全身麻酔では大きく違う。
- 全身麻酔を世界で最初に行ったのは、日本人の華岡青州だった。
- 麻酔は、日々発展しており、安全になってきている。
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